◇◇【一流】であること⇔【忘己利他】&【無我夢中】の境地(その1)◇◇
【2003年10月16日に作成した<第320回>に加筆】
●【忘己利他】
悪事(アシキコト)は己に受け
好事(ヨキコト)は人に与う
己れを忘れて他を利する
慈悲の極みなり(最澄)
●キリストの愛神主義は利他・利己両主義の上に超越し、最も多く他を利して最も多く己を利する道を我に教えたり
(内村鑑三)
神に大事にされ大切なる皆さん、ご愛読に感謝します。
【一流】には【FirstClass・最上級】の意味合いと同時に「彼一流の~」というように【独自性】という意味合いもあります。
この両面を備えた【一流】の境地とは仏教的に表現すれば【忘己利他】で【無我夢中】の信心の境地ではないかと
私は最近感じています。
●不信仰とは誰ぞ、我を張る者なり。信者とは誰ぞ、他にゆする者なり。自己中心とする、これ不信者なり。
自己をなきものにするこれ信仰なり(内村鑑三)
世界を代表する一流の人物も一流企業も一流都市でも、そこに共通するものがあります。それは【自己】を譲歩してでも
【隣人・社会】を喜ばせ満足させながら、しかし同時に自らも喜ぶという【キリスト精神】そのものだと思います。
●完全なる職業とは他人を喜ばして、我もまた喜ぶの職なり(内村鑑三)
●何を与えるかということよりも、大切なのはどう与えるかということだ(ゲーテ)
●受けるより与えることの方が幸いなり(使徒行伝20‐35)
●他を進めて、また自身をも進めるの事業、神の事業とは実にかくのごときものなり(内村鑑三)
つまり、【エゴ】を他人の為に使う【ボランティア精神】であり【愛好精神】であり、世界中で通用する【コスモポリタン気質】の
【キリスト精神:自由・平等・寛容・博愛】だと思います。
●エゴを他人の為に使え!(曽野綾子)
●しいられてするのではなく、神に従って自ら進んでなし、恥ずべき利得のためでなく、本心からそれをなしなさい
(ペテロ第1書5-2)
●各自は惜しむ心からでなく、また、強いられてでもなく、自ら心で決めたとおりにすべきである。
神は喜んで施す人を愛してくださるのである(コリント後書9-7)
●野心からも、単なる義務感からも、本当に価値あるものは生まれてきません。
本当に価値あるものは、むしろ、人や事物を深く愛する心から生まれてくるのです(アインシュタイン)
●人間のうちに善をのばしてやり、彼らの心に善に対する愛好心を注ぎ込むことが必要である(ヒルティ)
●自由人にふさわしく行動しなさい。ただし、自由をば悪を行う口実として用いず神の僕にふさわしく行動しなさい
(ペテロ第1書2‐16)
たとえば、米国の一流企業を考えて見ましょう。海外にある高級ホテルで気づくことはホテルに入るとその中心(中央)が誰もが
休息できるような「公共的空間」である事です。
ホテルの「一等地」が売店やレストランではなく、宿泊客に限らず誰もが出入り自由にくつろげる空間であることを体験した方も
多いのではありませんか?
一流ホテルのロビーとは《疲れた人》をいつでも歓迎し無償で休息させてくれるような≪都会のオアシス≫です!
日本の多くのホテルに概して観られるように、宿泊客優先で売店やレストランが占有しフロントから監視されるようなソファーだけが
用意されている《居心地》とは別世界です。
世界の一流都市といわれるNYマンハッタンにしても、街の中央の日当たりの最高な一等地が【セントラル・パーク】という
公共的空間になっているのも興味深い事実です。
さらに、世界のブランド店がズラリと並んでいる五番街の中央にカトリック系の巨大な教会があることも感動的です。銀座の真ん中に
お寺や神社があるような光景です。
弱肉強食の激しい自由競争の中心地と思われているNYマンハッタンの日曜日・休日は別の表情で街全体が飾られます。
必ずどこかのストリートが歩行者天国となって何かしらのチャリティ・バザーやパレードや市民運動のデモ行進など様々な
市民イベントのために一等地である街全体が慈善活動のために無償解放されるのです。
教会信者が【安息日】に教会の中で身内だけの集会やバザーをするのではなく、街全体が教会そのものであり、実生活の中に
慈善活動が含まれているからこそNYマンハッタンはいつもエキサイティングで【ダイナミック・パワー:信じる力・望む力・愛する力】を
発揮している事が実感できるはずです。
以前にも紹介したように、米国の一流企業はアフター・ケアが違います。ボール・ペンのクロス社は一度購入したら、保証書など
一切不用で基本的には生涯にわたり無償で修理をしてくれます。
スーパー・ストアとカタログ販売で有名なシアーズ・ローバック社は家庭の必需品である芝刈り機や日曜大工セットなどを
一度購入したなら、いかに古くなったモデルであっても故障や破損・紛失すれば生涯に渡り最新モデルへの無償バージョン・アップを
してくれるそうです。
日本にも上陸したと聞く、スポーツ商品販売店で一流の「スポーツ・オーソリティ」ではクレジット・カードの番号を提示するだけで
三日間の「無料お試しサービス」があります。テニス・ラケットなどは、じっくりと使ってみてから、購入できるから安心です。
米国では購入して、たとえ一度履いて使用したシューズでも問題あれば無料交換するのが【一流】のシューズ販売店の常識です。
私が米国で感動したのは、靴の横幅サイズであるE、EEなどがEEEEまで基本的には全製品に全て用意していることです。
日本の多くの店舗では在庫の問題で考えられません。たとえ年に一人も来ないようなサイズでも、いつでも準備しているからこそ
【一流店】と言われる証明だと思います。
さらに驚くべきは、たとえ手軽な値段のスポーツ・シューズであっても靴選びにおいては、店員のサポートは懇切丁寧であり何度でも
履き比べに満足行くまでトコトン付き合います。こちらが恐縮するぐらいに選ぶのに時間をかけてくれるので安心です。
そこまで事前に応対するのにも関わらず、使用に不具合が生じれば交換できる【心意気】が【一流】である証明であり、店員には
自分の仕事に並々ならぬ誇りすら感じます。
最近の日本の商店街の光景は悲惨です。個人経営の酒屋や専門店がコンビニ・チェーンに転業したり、大手ドラッグ・ストアに
変貌しているからです。
商店街に隣接する大手スーパーは夜11時までオープンも当たり前の状況になっています。私を含め生活者にとっては便利ですが、
行き過ぎは町全体のパワーを失わせる危険にあると私は感じます。
世界の商業の中心地でもあるNYマンハッタンでは、日本の状況とは異なる光景があります。
日本のコンビニは大資本の大企業(一流企業?)がFC展開しているのに対して、NYでは社会のマイノリティである韓国系や中国系が
中心に経営している24時間オープンの「デリ」が日本のコンビニ店の乱立とは異なり、街の各ブロックに一つずつ存在します。その周辺は
同じくマイノリティが経営するクリーニング店や靴磨き店やネイルショップなどが共存しているのです。
米国の大資本である一流企業と呼ばれるスーパー・ストアやドラッグ・ストアは基本的には日本でも「横綱ずもう」という文化があるように、
深夜営業をせずに、個人商店経営者との【共存共栄(WinWin)】を紳士的に守っているように感じます。
もし、ガリバー企業が個人経営の仕事までを横取りしていると結局は共倒れしてしまう事を彼らは歴史に学び熟知しているからだと
思います。
地球儀専門店や地図専門店など【独自性】を発揮した個人経営の【一流の店舗】が街の中心に堂々と構えていられるからこそ、
マンハッタンにはいつもエキサイティングな魅力があって、【アメリカン・ドリーム】を実現させてくれる【ダイナミック・パワー】に満ち溢れて
いるのだと実感できるはずです。
単なる大資本の大組織や伝統的権威や老舗だけが【一流】であるのではなくて【一流】とは【キリスト精神】である【自主独立】
と【隣人愛】を目指す【ビジョン:理想・夢・志】を抱くことでもあると私は理解しているのです。
●後のものを忘れ、前のものに向かって体を伸ばしつつ、目標を目指して走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる
神の賞与(栄光)を得ようと努めている(ピリピ書3-13~14)
●【最も貴きもの】
富と糧とに優って貴きものは知識なり
知識に優って貴きものは道徳なり
道徳に優って貴きものは信仰なり
信仰に優って貴きものは愛心なり(内村鑑三)
世界に通じる【一流】のコンビニ・チェーンならば、コンビニが進出したおかげで商店会がよみがえり、街全体にまで活気を取戻させるような
【助け主】となって【WinWin】の存在となるでしょう。これからの日本のコンビニ・チェーンにも心から期待しています。
★★【その2】につづく★★