◇◇政治指導者の信仰心とソウル・メイトの意義◇◇【2001年5月12日に作成した<第127回>より】
●あなたの若い日にあなたの創造者を覚えよ、災いの日が来ないうちに
また、『何の喜びもない』という年月が近づく前に(伝道の書12-1)
神に大事にされ大切なる皆さんこんにちは、ご愛読に感謝します。
世界で平和的で歴史的功績を残してくれた政治指導者の多くは信仰心が強い
人々といえます。特にトップ・リーダーは孤独であり、決断と実行においては
自分自身との戦いであるからではないでしょうか。
カーター元大統領は79年にアラブ諸国を代表するエジプトとイスラエルとの
和平を初めて実現させた功労者です。当時のエジプトのサダト大統領に対して
和平への愛敵の心を開かせたのには秘話があります。
カーターはエジプト、イスラエルの両首脳との三者で別荘キャンプ・デービット
にて一緒に寝泊りしながら、何日も話し合いました。しかし、一向に進展が見られ
ません。もはや決裂かと思えた日に、信仰深いカーターならではの、発見をします。
それは、サダトの「おでこ」にある大きな「タコ」です。サダトもまた敬虔なる
イスラム信仰者だったのです。毎日欠かさずに日に何回も頭を床につけて祈るために
遂には大きな「タコ」ができたのでしょう。
カーターはサダトとの信仰的共感によって、彼とは親近感を抱けるようになります。
それまでの政治的交渉を止めて、信仰的説得によって理解を求める道を見出すのです。
そして、あの紀元前から始まった兄弟民族の争いに奇跡的な和平が実現できたのです。
もし、カーターに厚き信仰心がなかったら、いくら時間を費やしても、クリントンの
時のように和解すら実現しなかったかもしれません。
カーターには信仰深い姉がいて、彼が政治的窮地に追い込まれた時の良き相談者となる
など、彼は常に信仰にしたがった政治的決断と実行をした人といえるでしょう。
彼の失政として有名なのが79年から一年以上続いたイラン米国大使館人質事件でした。
彼はなるべく軍事的行動を避けて説得を続けましたが、世論に押されて、一度電撃的な
救出作戦を決行しますが、失敗してかえって犠牲者を出してしまいます。
彼は再選を狙って80年11月の大統領選挙でレーガンに負け落選してしまいます。しかし、
その後も、人質解放という最後の最大任務は、翌年の1月新大統領就任式当日の朝まで、
懸命になってホメイニ氏を説得し続けるのです。そして、就任式の三時間前に見事に
解放が実現するのです。まさにカーターの固い信仰から生まれた希望と忍耐の勝利です。
カーターは大統領を辞めてからも、現代に至るまで、個人的に平和外交で世界に貢献し
続けています。
今では元大統領の中で最も偉大な大統領とまで呼ばれる尊敬される人物になっています。
●艱難は忍耐を生み、忍耐は練達を生み、練達は希望を生み出す(ロマ書5-3)
●信仰がためされることによって忍耐が生み出される(ヤコブ書1-3)
ゴルバチョフは共産主義体制を終焉させる道を切開いた先駆者であり、ベルリンの壁を
崩壊させビロード革命に導いた功績者です。彼もまた理想主義であると同時に信仰心の
強い人物だと言えます。
彼はレーガン政権から「悪魔の帝国」とみなされて仮想敵国にされていた当時に、
アメリカに外交交渉に出向きます。レーガンはSDIスター・ウオ-ズ計画でもって
威嚇的な政治交渉をしかけてきます。しかし、ゴルバチョフ側は次のように提案します。
「あなたたちは宇宙戦争を計画しているが、私たちは宇宙平和を望んでいるのです。」
この声明によって、米国世論は軍縮を支持したのは当然でしょう。そして奇蹟は起こります。
それまで世界の誰もが不可能ではとあきらめかけていた米ソ間の核武装競争にストップが
初めて行われたのです。ゴルバチョフの自国の国益よりも全世界を破滅から救出するという
世界平和を選択する決断と実行があったからこそ、21世紀を無事に迎えられたといえます。
現代、またミサイル防衛戦略が浮上し始めていますが、日本から新たなゴルビーが登場する
ことを願いたいものですね。ブッシュが自らを敬けんなる『クリスチャン』と言うならば、
なおさら、米国だけの国益など考えずに、世界平和のために大いなる決断と実行を目指して
くれる事を望みます。
●汝の車を星につなげ(エマーソン)
●失敗は罪ではない。目的が低い事が罪なのである(内村鑑三)
ゴルバチョフはあるNHKのインタビューで次のように質問されます。
「あなたはとても理想主義者ですね。何故、いつまでもそのような青臭いことが言える
のでしょうか?」
彼はニッコリと笑みを浮かべて答えてくれました。
「モーゼの十戒もとっても理想的で美しいではありませんか」
●理想主義なるものは、ひとつの信仰、ひとつの内的確信にほかならない(ヒルティ)
ゴルバチョフにもまた【信用と信頼関係】の同志である信仰深い妻がいました。
いつでも、どんな人でも、不可能を可能にするような大改革を行う勇気と忍耐を得るには
理解ある同志でもある【ソウル・メイト】が必要だと言えるでしょう。彼等との信仰的な
交流があるからこそ、自己の【善意・良心・可能性】に従って信念を曲げずに理想・志に
向って真っ直ぐにチャレンジできるからです。
●二人による証言は真実である(ヨハネ伝8-17)
●十二人の弟子を呼び寄せ、二人ずつ組みにして遣わす(マルコ伝6-7)
●二人または三人が、私の名によって集まっている所には、私もその中にいるのである(マタイ伝18-20)
長野県知事の田中康夫氏が「脱ダム宣言」に勇敢にチャレンジできるのも、彼が自ら
発言しているように、カトリックの母と姉がいるからではないでしょうか。
●語るための真理にあらず、信じて行うための真理なり(内村鑑三)
それでは今日も明日も素晴らしい人生をお過ごし下さい。
May grace and peace be with your spirit.
Good luck & God bless you!
メイル歓迎します!
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田中 聡(さとし)